クラゲ類の生態学的研究

クラゲ類の生態学的研究

豊川雅哉・西川淳・三宅裕志:編集

A5/口絵+約190ページ/定価 本体2,800円+税
ISBN978-4-909119-12-4

クラゲ類の生物・生態研究の最前線
 ミズクラゲなどの鉢虫綱,アンドンクラゲなどの箱虫綱のクラゲ類を中心に,その生物学や生態研究の最前線を解説。発電所や漁業に大きな被害を与える大量発生を予測する取り組みも紹介。
●目次●

はじめに

【第1章 生活史からのアプローチ】
1:日本産箱虫綱の分類と生活史(戸篠  祥)
 1.はじめに
 2.箱虫綱とは?
 3.箱虫綱の分類
 4.日本産箱虫綱
  4.1.日本産既記載種
  4.2.日本初記録種
  4.3.まとめ
 5.箱虫綱の生態,生活史
  5.1.ヒメアンドンクラゲ
  5.2.ヒクラゲ
 6.まとめ
2:箱虫綱と鉢虫綱:再統合の提案(Ilka Straehler-Pohl/日本語訳:豊川雅哉)
 1.はじめに
 2.初期生活史と進化理論
 3.まとめと系統樹の修正
3:鉢虫綱クラゲポドシストの生理生態学的特徴(池田英樹)
 1.はじめに
 2.ポドシストの形態的特徴
 3.ポドシストの生理生態学的特徴
  3.1.生産における特徴
  3.2.休眠における特徴
  3.3.脱シストにおける特徴
 4.メデューサの大量発生におけるポドシストの役割
4:ミズクラゲのポリプのコロニー形成(三宅裕志)
 1.はじめに
 2.野外でのポリプの付着状況
 3.野外でのコロニーの形態
 4.ミズクラゲのポリプのコロニー形成
 5.おわりに

【第2章 鉢クラゲ個体群の野外調査[特にポリプ]】
1:伊勢湾におけるミズクラゲの生態学的研究と大量発生予測への応用(濱田  稔)
 1.はじめに
 2.発生海域の探索
  2.1.エフィラ分布調査
  2.2.ポリプ分布調査
 3.ミズクラゲ発生予測技術の開発
  3.1.ポリプ,エフィラの発生量調査
  3.2.火力発電所へのクラゲ推定襲来量調査
  3.3.ポリプ密度とクラゲ推定襲来量における相関分析
2:東京湾におけるミズクラゲのポリプのコロニー(石井晴人)
 1.はじめに
 2.湾奥部におけるポリプのコロニー
 3.湾口部におけるポリプのコロニー
 4.考 察

【第3章 他の分類群との相互関係】
1:魚類の食物としてのクラゲ類(宮島(多賀)悠子)
 1.魚類とクラゲ類の相互関係
 2.クラゲ類の栄養学的価値
 3.魚類のクラゲ類採餌行動
 4.魚類の食物としてのクラゲ類の寄与
 5.成長段階ごとのクラゲ類と魚類との関係
 6.魚類のトップダウンコントロールによるクラゲ類の大量発生防御の可能性
2:アジア海域における大型クラゲ類の共生生物群集  クラゲ類の生態系における機能再考(大塚  攻)
 1.はじめに
 2.共生とは?
 3.魚 類
 4.棘皮動物(クモヒトデ類)
 5.甲殻類
 6.吸虫類
 7.底生性刺胞動物との共生関係の比較
 8.クラゲ類漁業が共生生物に及ぼす影響

【第4章 集団遺伝学による発生源特定】
1:エチゼンクラゲの遺伝的集団構造から推察される発生源と分散(半澤直人)
 1.はじめに
 2.研究に用いた材料と解析の方法
 3.2007年に大量出現したエチゼンクラゲの遺伝的集団構造
 4.2007年の東シナ海標本集団における遺伝的組成の季節的変動
 5.2009年に大量出現したエチゼンクラゲの遺伝的集団構造
 6.エチゼンクラゲの遺伝的集団構造から推察される発生源と個体の分散過程
 7.今後の展望

【第5章 食用クラゲ研究】
1:クラゲ漁業の実態−インドネシア,ジャワ島における大型鉢虫類の新種発見とそれらに対する漁業について(西川  淳)
 1.はじめに
 2.インドネシア,ジャワ島南部におけるクラゲ漁業とアオヘルメットクラゲCrambionella helmbiruの発見
 3.クラゲ漁業と漁獲対象種保全の重要性
【第6章 調査手法】
1:超音波および水中カメラを利用したクラゲパッチの分布構造の観測について(野方靖行)
 1.はじめに
 2.超音波による観測システム
 (1)超音波センサー部
 (2)クラゲ類検出のためのPCによる処理
 3.水中ビデオカメラによる観測
 4.クラゲパッチの観測
 5.おわりに
2:エチゼンクラゲの行動および分布特性を調べる方法(本多直人)
 1.はじめに
 2.行動を調べる方法
  2.1.スキューバダイビングによる遊泳速力計測
  2.2.電子標識による追跡調査
 3.分布特性を調べる方法
  3.1.光学的手法
  3.2.音響的手法
  3.3.日本海沖合でのエチゼンクラゲ分布モニタリング
 4.おわりに
3:定点カメラによるクラゲ類の定性的量調査(藤井直紀)
 1.表層モニタリングの意義
 2.ミズクラゲ表層集群のモニタリング〜宇和海の事例
 3.ビゼンクラゲ表層モニタリング〜有明海の事例
 4.まとめ

引用文献/索引/著者紹介
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